どうして大胸筋の緊張が迷走神経反射を引き起こすのか?
はい、では前回の続きですがどうして大胸筋の緊張が迷走神経反射を引き起こすのでしょうか?
それはですね、過緊張を起こした大胸筋が肋骨を抑えこむ事で、
肋骨の可動域を極端に狭めてしまうからなんです。
肋骨が動かせなくなると、どのような悪影響を及ぼすのでしょうか?
本来、肋骨はたとえ骨折しても呼吸時における肺の動きを妨げる事が出来ないのでギプスを巻く事が出来ません。
それだけ肺の動きは重要なのです。
確かに、肺は呼吸をするためのものですから重要ですよね。
しかし、大胸筋が過緊張を起こすと正にギプスを巻いてる様な状態になり、
肺が外側に向かって膨らむと言う事が出来なくなります。
ですから、内側への膨張や可動域の狭くなった肋骨を無理矢理動かして呼吸をするしかなくなるのです。
なるほど、大胸筋が緊張を起こすことで肋骨が動く範囲が狭くなり、
肺もそれに影響して膨らむことが出来なくなるというのはわかりました。
ではそれがどうして迷走神経と関係があるのでしょうか?
そうなるとですね、その自分自身の重要な器官である肺が、
肋骨と肺の間に分布してる迷走神経を圧迫してしまうんです。
そしてこの時点で迷走神経は情報伝達の低下を起こしております。
やっと大胸筋の緊張と迷走神経がつながりました。そういうことだったんですね。
まとめると大胸筋の緊張で肋骨が思うように動かなくなってしまった結果、肺が膨らむとその間にある迷走神経が圧迫される。
ここまでの話はこのような感じですかね。
そして、猫背であると言う事は自身の上体の圧力が腹部に乗ってると言う事です。
確かに前のめりになれば当然お腹に上からの圧力がかかりますもんね。
しかも、力学的にも圧力には反作用のベクトルが有りますので、
下方からも押し上げられる為身体の中央に位置する、
胃や横行結腸、膵臓は高圧に晒され、本来の蠕動運動が阻害されております。
反作用は上から圧力がかかれば下からも同じ力の圧力がかかる法則で、
そうすると上からも下からも体の中央は圧迫されて本来の体内機能が働かなくなってしまうんですね。
先程も述べた様に、迷走神経が1番多く分布してるのは胃なので、
食事後には高圧の胃になおかつ食物が入る事になり、
より一層のストレスが迷走神経に掛かります。
ただでさえ上からも下からも圧力がかかってるのに、
食べ物が加わったらより負荷がかかるのは容易に想像できますね。
はい。ただ当然、圧力が高くとも生命維持をしてる限り、無理矢理にでも胃や腸は蠕動運動を起こします。
ただ神経のストレスが限界になった時に急激な胃の減圧が起きたらどうなりますでしょうか?
食べものが胃の中に入ることで圧力が変わるということですね。
そうです。本来、胃は食べ物が入らない状態では潰されてます。
瞬間的に膨張から収縮が起きた際に、
その圧力変動に耐えられず、
迷走神経が極度の興奮状態になります。
迷走神経が興奮するとどうなってしまうのでしょうか?
興奮した迷走神経は脳内で大量のセロトニンを発生させます。
セロトニンは聞いたことはありますが、セロトニンは体にどのような影響を与えるものなのでしょうか?
本来、生命活動には、アドレナリン、セロトニンの放出バランスは非常に重要です。
アドレナリンが放出される事で、
循環器は興奮し血圧が上がり、呼吸量も上がります。
逆にセロトニンが放出されると循環器は鎮静し、
その代わり消化器官が興奮し蠕動運動が強まり消化吸収を促進させます。
なるほど、このセロトニンとアドレナリンのバランスを維持することが普通なんですね。
しかし、起立時に急激なセロトニン放出が起きたらどうなるでしょうか?
当たり前の事ですが血液にも引力は掛かります。
つまり、心臓は引力に逆らって頭部に血液を高圧で送ってるのです。
その時、急激な減圧が起きたら頭部への血流は減少しますよね。
だから、脳貧血が起きるのです。
なるほど、今までは頭部に送っていた血液も減圧により血が送り出せなくなってしまい、
めまいや失神を引き起こすというメカニズムなわけですね。
これが、迷走神経反射と脳貧血の関係です。
長くなりましたが一番肝心な事です。
他の症例にも大きく関わって来る事ですから。
確かにかなりボリュームのある内容でしたが、非常に勉強になりました。
で、次はですね実際に悩まれてる方にとっては1番重要な部分である実際に治るのか?という部分について聞いていきたいと思います!
はい、次もまたよろしくお願いします。